一級建築士 つるみーの
家づくりコラム

家を建てる前に知っておくべきこと

工務店の倒産リスク|危ない住宅会社の予兆と回避策

最終更新日:2026年5月24日

工務店や住宅会社の倒産リスクを回避する確認ポイント

夢のマイホーム計画を進める中で、最も避けたい事態が「依頼先である工務店や住宅会社の倒産」です。
一生に一度の大きな買い物だからこそ、不安になるのは当然です。
一級建築士として、また多くの住宅相談に乗ってきたアドバイザーとして、倒産リスクを回避するための秘訣をお伝えします。

リスクを100%見抜くのは難しいが、「サイン」は必ずある

結論から言えば、工務店や住宅会社の倒産を完全に見抜く魔法のような方法はありません。
しかし、経営が苦しくなった会社には、プロの目で見ると共通の「危ないサイン」が必ず現れます。
これらを知っているだけで、最悪の事態を回避できる確率は格段に高まります。

なぜ「サイン」が出るのか?住宅業界の仕組み

住宅業界は、契約金、着工金、中間金、完成金の4回、または契約金を除いた3回に分けてお客様に請求します。
一方で、現場に入っている職人さんや業者からは毎月請求がきます。
例えば着工金でお客様から1000万円支払われたけど、中間金までに業者からの請求総額や会社の販管費(従業員の給与等)が1200万円になっているケースがあり、その差額の200万円を会社のキャッシュや金融機関からの融資で支払っているのが住宅会社のお金の流れです。
つまり、住宅業界は「自転車操業になりやすい構造」のため、そのバランスが崩れた時に倒産リスクを抱えてしまいます。
どのような時にバランスが崩れるのか、一例をご紹介します。

なぜ「サイン」が出るのか?住宅業界の仕組み

● 急激な物価上昇

近年の資材高騰が激しく、お客様に見積を出した数か月後に値段が変わってしまうことが発生しています。住宅ローンで予算が決まっているため、物価上昇分をお客様に請求するのが難しい場合があり、その分の利益を削って対応してしまい、キャッシュフローがじりじりと悪化してしまいます。

● 法改正による着工の遅延

2025年4月の建築基準法の改正で、確認申請の審査機関の審査内容が大幅に変わり、以前数週間で下りていた申請が、2〜3ヶ月もかかるようになりました。その期間着工が遅れるので、お客様からの入金もずれてしまいます。

● 世界的な動きの影響

2020〜2023年頃のコロナ禍に起きた「ウッドショック」、2026年の中東問題による「ナフサショック」のように、世界経済や政治の動きによって急に資材が輸入できなくなることが起きます。工事は止まり、新しい物件の着工もできず、需要と供給のバランスが崩れることで価格が急激に上がり、住宅会社のキャッシュフローが急激に悪化します。

このように住宅業界は日本国内の政治、経済だけではなく、世界的な影響も大きく受ける産業です。

工務店だから危ない、ハウスメーカーだから安心と単純に捉えず、危ないサインを知っておくことが、家づくりをする方の自助努力になります。

プロが教える工務店や住宅会社のチェックポイント

一級建築士として住宅業界で働いた実務的な視点と、イエタッタカウンターに寄せられる相談事例から、注意すべきポイントをまとめました。

プロが教える工務店や住宅会社のチェックポイント

1. お金に関する「危険信号」

以下の項目に当てはまる場合は、非常に注意が必要です。

  • 契約を異常に急かしてくる:「今月中に契約すれば◯◯万円引き」という言葉で、無理に判を押させようとする。
  • 契約金や着工金の割合が高い:契約、着工、中間、完成の4回または契約を除いた3回に分けて支払うことから、通常の契約金で建築費の10%未満、着工金で30%未満です。資金繰りが厳しい場合は、何かと理由を付けてそれ以上を要求してくる場合があります。

会社のキャッシュが不足し、経営状態も悪化していることから金融機関からの融資も受けられない状態の可能性が非常に高いです。

この状態だと、業者への支払いや従業員への給与の支払いができなくなるカウントダウン段階まできていると考えられます。

ここで気付いても後戻りするには手間がかかりすぎるので、もっと事前の打ち合わせ段階で支払い方法についての質問をしておきましょう。

2. 現場とスタッフの「違和感」

数字に出ない「空気感」こそ、一次情報として重要です。

  • 現場が汚い: 産廃ボックスが溢れている、資材が乱雑。これは職人への支払いや監督の管理が行き届いていない証拠です。
  • スタッフの離職が激しい: 担当者が頻繁に変わる会社は、社内環境が悪化しているサインです。
  • 上席がころころ変わる: 課長、部長、支店長などがころころ変わるのは、業績悪化の責任を取らされている可能性があります。

経営状態が悪化すると給与の支払いが遅延したり、ボーナスがカットされたり、売上を上げるよう過剰なプレッシャーをかけられたり、従業員のモチベーションが著しく削がれることが起きます。

良くも悪くも働く人たちの変化は、会社の業績に影響を受けるものです。直接聞くのは難しいかもしれませんが、雰囲気からヒントがあると考えましょう。

3. 倒産リスク確認用チェックリスト

検討中の会社を以下の表でセルフチェックしてみてください。

チェック項目 危険度の目安 プロの視点
契約の督促 強い(即決を迫る) 資金確保を急いでいる可能性大
着工金の額 総額の30%以上 運転資金に回そうとしている疑い
現場の清掃 ゴミが散乱している 管理能力の低下、協力業者の不満
社員の雰囲気 離職者が多い
上席がころころ変わる
業績不振で社員のモチベーションがダウン
見積書の内容 「一式」ばかりで詳細不明 正確な原価管理ができていない

自分一人で抱え込まず、第三者を賢く利用する

自分一人で抱え込まず、第三者を賢く利用する

倒産リスクを回避するための防御策は、「住宅完成保証制度」への加入を確認することです。

これはもし工務店が倒産しても、保証会社が代わりの建築会社を手配し、一部の費用をカバーしてくれる制度です。

保険に加入するのはお客様ではなく住宅会社ですが、残念ながら普及率はそこまで高くないのが実態です。

理由は、加入にあたって時間と手間、費用負担がかかるのが原因だと考えられます。

それに加えて、完成保証制度は過去3年間の決算報告書を見て財務状況が健全(例えば連続黒字経営)かどうか審査されるため、赤字で倒産リスクのある会社は加入できません。

「加入している=健全経営」のため安心感はありますが、本当に必要な会社は加入できない制度矛盾とも取れる状態になっています。

そのため賢い住宅会社の経営者はその矛盾を理解して、保険料の負担が増えるだけで意味がないという理由で加入しない判断をされているケースもよく見かけます。

「完成保証制度=安心」と鵜呑みするだけではなく、制度の仕組みを理解した対応をしているかどうか質問してみるのが良いでしょう。
やはり対策として考えられるのは、そもそも「危ない会社」を選ばないことが一番です。

前述のチェックポイント以外の方法として、株式会社帝国データバンクや株式会社東京商工リサーチ等が提供する「企業信用調査」を調べることが考えられます。

手間と費用はかかりますし、データを提供していない企業もあるため確実と断言はできませんが、十分に参考になるとは思います。

会社にキャッシュがあれば倒産リスクが低いので、「自己資本比率」をチェックするのが良いでしょう。

第三者の相談窓口を頼るのも手段の一つ

第三者の相談窓口を頼るのも手段の一つ

私たち「イエタッタカウンター」のような第三者の相談窓口を利用することも手段の一つです。

運営している株式会社MiraieCompanyはwebマーケティングの会社として住宅会社の販促や広告の支援をしています。

取引先である住宅会社の経営不振は、弊社にも影響を及ぼす可能性があるため様々な目線で状況把握に努めています。

  • 地域の生の情報: ネットには出ない「あそこの現場が止まっている」「最近評判が良くない」といった地元の動向を把握しています。
  • 専門家による選別: 信用調査等も含めた独自の審査基準を設けており、経営状態が不安な会社は確認しています。
  • 中立なアドバイス: 住宅会社での実務経験がある一級建築士を中心に、住宅会社の不自然な点や違和感を客観的に判断します。

家づくりの失敗を防ぐために、正しい情報収集が大切です。

失敗をしないようにと考えるのも大切ですが、どういった家づくりになるのが成功かといったビジョンを描くのも忘れてはいけません。

フラットな立場から学び、ともに考えるのが私たち「イエタッタカウンター」のような第三者の相談窓口なので、情報収集の一つとして利用するのも良いかもしれません。

家づくりの第一歩を踏み出そう!

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家づくりに関する悩みや不安を解消し、後悔しない家づくりを実現するためには、専門家のサポートを受けることが非常に有効です。イエタッタカウンターでは、一級建築士による勉強会や、お客様一人ひとりの状況に合わせた個別相談を完全無料で提供しています。

「何から始めたらいいか分からない」という方も、すでに複数の住宅会社を回って迷っている方も、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。経験豊富な担当者が、あなたの家づくりを丁寧にサポートし、最適な住宅会社選びのお手伝いをいたします。

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専門家監修

一級建築士による中立的な比較・解説

この記事は、累計800組以上の相談実績を持つ一級建築士が、特定の会社に偏らない「中立的な立場」で執筆・監修しています。

👤コラム監修者
コラム監修者 一級建築士 鶴見哲也
鶴見 哲也(つるみ てつや)
一級建築士[家づくりディレクター]

1986年石川県生まれ。石川工業高等専門学校から新潟大学に編入し大学院修了後、石川県の設計事務所、住宅会社で8年半設計業務に従事。小学校から注文住宅、新築からリノベまで幅広い経験を持つ。本当に良い家づくりをするために、住宅会社を選ぶ前段階でよく学ぶことが大切だと気付き、住宅情報サイト「イエタッタ」を運営する(株)MiraieCompany に入社。第三者の立場から住宅取得希望者に向けて家づくりをわかりやすく学べるようにし、かつ住宅会社向けに建築とマーケティングの知識により住宅会社の課題解決にも取り組んでいる。

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住宅会社向けセミナー講師実績あり(2022年~現在まで毎年複数回) 住宅会社へのコンサルティング実績あり

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