ここ数年、利用者が増えているふるさと納税。
自身が応援したい地域に寄付をすると、返礼品を受け取れる制度です。
このふるさと納税は住宅ローン減税制度との併用ができ、所得税や住民税の控除につながります。
しかし「聞いたことはあるけれど詳しくは知らない」や「本当にできるの?」と疑問に思う人もいるでしょう。
本記事では、住宅ローン減税制度とふるさと納税の紹介から併用する際の注意事項までまとめました。
まずは、住宅ローン減税制度について見ていきましょう。
■住宅ローン減税制度とは
2022年度から改正されることになった住宅ローン減税制度。正式名称は「住宅借入金等特別控除」と言います。
これまでは、住宅を購入し10年以上のローンを組んだ際に住宅ローン減税制度を利用すると、毎年のローン残高の1%を所得税および住民税から控除、最大控除額は40万円となっていました。
しかし改正後は1%であった控除率が0.7%へ、最大控除額も40万円から21万円へ縮小されています。
所得も3,000万円以下から2,000万円以下に下がり、高所得者を減税対象から外しました。
その一方で控除期間は、10年から13年へと延長されています。
また、住宅ローン減税制度の申請は個人単位で行えます。
共働の夫婦が別々に住宅ローンを組んでいる場合、夫と妻それぞれが減税申請をできるということです。
しかし、ローンの組み方によっては住宅ローン減税を受けられなくなるため気をつけましょう。
減税を受けるポイントは、夫婦それぞれが住宅ローンを借りることです。
夫婦連帯責務という方法もありますが、金融機関によっては認めてもらえないこともあります。
確実に受けるためには、それぞれが契約者となり住宅ローン減税の申請を行いましょう。
そして、住宅ローン減税制度の利用には下記の条件もあるため、確認してから申請してください。
・必ず申請者が居住する ・床面積が50㎡以上(一部40㎡以上)であること ・中古住宅の場合、現在の耐震基準を満たしていること
ここまでは、住宅ローン減税制度について紹介しました。
続いては、ふるさと納税について見ていきます。
■ふるさと納税とは
ふるさと納税とは、あなたが「応援したい」と思った自治体に寄付できる制度です。
ただ寄付するのではなく寄附金の使い道も指定でき、寄付のお礼として自治体から地域の特産品を受け取れます。
さらに、ふるさと納税は合計寄附金額から2,000円を差し引いた金額に合わせて、所得税の還付や住民税の控除を受けられます。
ここで1つ注意したいのが、ふるさと納税は「寄付した金額の合計から2,000円を引いた残りが、税額控除という形で戻ってくる」点です。なかには減税や節税になると思い、ふるさと納税を始める人もいます。残念ながら減税や節税にはならないので、間違えないようにしましょう。
そして、ふるさと納税の主な流れは下記の通りです
1.控除上限額を確認する
2.寄付をする自治体を選ぶ
3.返礼品が届く
4.税金控除などの手続きを行う
控除上限額とは、ふるさと納税を利用して控除される税金の上限額になります。
収入や家族構成によって決まり、人によって異なるため必ず確認しましょう。
もちろん控除上限額以上の寄付も可能です。しかし、その場合は控除に含まれず自己負担になります。
返礼品や控除・地域の応援など、自分の目的に合わせてふるさと納税を利用しましょう。
また、返礼品と一緒に「寄附金受領証明書」と呼ばれる領収書が届きます。
確定申告の際に必要になるため、捨てずに保管してください。
税金控除の手続き方法は、確定申告の有無や寄付した自治体の個数などで変わります。
自分がどちらに当てはまるのか確認しましょう。
ここまで住宅ローン減税とふるさと納税が、どのような制度かお伝えしました。
続いては、この2つを併用する際の注意事項を確認していきます。
■両方利用する際の注意事項
住宅ローン減税制度とふるさと納税を併用する際に、注意したい点は下記の3つです。
1.どちらも所得税と住民税から控除される
2.寄付のしすぎに要注意
3.年収からの簡易試算ではなく、詳細試算で計算しよう
そして、控除は下記の流れで行われます。
1.ふるさと納税の寄附金額が所得控除として引かれる
2.課税所得と所得税の納税額が決定
3.所得税から住宅ローンの控除額が引かれる
4.所得税から引ききれなかった控除額は、住民税から控除限度額まで引かれる
5.ふるさと納税の寄附金額が住民税から引かれる
最初に基礎控除と自己負担額2,000円を除いた、ふるさと納税の寄附金額が控除されます。
控除後、所得は低くなり、その分所得税も減額。
この時点で所得税が住宅ローン控除より少ない場合は、これ以上の控除はできません。
残りを住民税から控除することになります。
しかし、上限の関係で、住宅ローン控除が満額引かれない恐れもあるのです。
このような事態を避けるために、ふるさと納税の寄附金額を抑える必要があります。
限度額を把握して、寄付のしすぎには注意しましょう。
また、年収を計算する際は、正確な数字を出すために簡易試算ではなく詳細試算で行うようにしてください。
ここに大きなズレが生じると、控除額の算出にも響いてきます。
(※確定申告を行わない人は、「ワンストップ特例制度」を利用する方法もあります。
この場合は、住民税からの控除になるため所得税の住宅ローン控除は満額受け取れます。
しかし、住宅ローン1年目は必ず確定申告をしなければいけないため2年目からの利用になります)。
(※)ワンストップ特例制度:確定申告を行わずに、簡単な申請で住民税の控除を受けられる制度。
「ふるさと納税で1年間に申し込める自治体は5つまで」や「給与取得者であること」など決まりがある。
今回は、住宅ローン減税制度とふるさと納税の関係性について解説しました。
一見複雑に見えますが、ふるさと納税の寄付金額や住宅ローンの組み方など、
気をつけるポイントを理解すれば利用しやすい制度です。
地域活性化に貢献でき特産品も受け取れます。
さらには住宅ローンも控除されるなど、お得で魅力的な制度を上手に利用しましょう。
〈参考文献〉
https://www.furusato-tax.jp/about#section-02
https://furusatoplus.com/info/008/
https://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/requirement.html
https://www.shinseibank.com/powerflex/moneylesson/loan/housing/vol12.html
https://furusatoplus.com/info/006/