一級建築士 つるみーの
家づくりコラム

家を建てる前に知っておくべきこと

住宅性能評価とは?5つの疑問を解消!基準からメリットまで徹底解説

最終更新日:2025年12月29日

住宅性能評価とは?「夢のマイホーム」と一口に言っても、その性能は様々ですよね。
耐震性能や省エネ性能など、「どんな家を選べば安心なのか」「客観的な基準はあるの?」と疑問に感じていませんか?

住宅性能評価は、そんなあなたの疑問を解消し、安心な家づくりをサポートする大切な制度です。
この評価を受けることで、家の品質が「お墨付き」となり、補助金や税制優遇、将来の資産価値向上にもつながる可能性があります。
この記事では、住宅性能評価の基本からメリット・デメリット、さらに長期優良住宅やZEHとの関係まで、わかりやすく解説します。

本記事でわかること
  • ・住宅性能評価とは何か?その基準と評価項目
  • ・住宅性能評価を取得する5つのメリットと注意点
  • ・「断熱等級」と「耐震等級」の重要性と等級一覧
  • ・長期優良住宅、ZEH、GX志向型住宅との関係と補助金
  • ・住宅性能評価の費用と、後悔しないための申請のコツ

住宅性能評価とは?安心な家づくりの「お墨付き」

住宅性能評価とは?

住宅性能評価の「基準」とは?

住宅性能評価は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)に基づき、国土交通大臣に登録された第三者機関が住宅の性能を客観的に評価する制度です。
この評価の結果、一定の基準を満たしていれば「住宅性能評価書」が交付されます。これは、家の品質を客観的に示す「お墨付き」となるものです。

この制度では、主に10分野33事項にわたって住宅の性能が評価されます。
特に注目されるのは以下の項目です。

  • 構造の安定性(耐震等級)
    地震に対する建物の強さを示す等級1~3です。等級3が最も高い性能を示します。
  • 温熱環境(断熱等級)
    家の断熱性を示す等級4~7があります。数字が大きいほど断熱性能が高く、快適な住環境や省エネにつながります。
  • その他
    火災時の安全、劣化の軽減、維持管理・更新への配慮、空気環境、光環境、音、高齢者等への配慮(バリアフリー)、防犯などがあります。

住宅性能評価は「義務」ですか?

住宅性能評価の取得は、現時点では義務ではありません。
しかし、国は住宅の省エネ化を推進しており、2025年4月からは全ての新築住宅で断熱等性能等級4以上の達成が義務化されました。これは事実上、日本の住宅における最低基準となります。
2030年には断熱等級5を義務基準に引き上げるという議論が進んでおり、将来的に住宅の性能に義務を設ける場合の指標の一つとして住宅性能評価の基準があると考えられます。

もし評価を受けなかったらどうなりますか?

評価を受けなくても家を建てることは可能ですが、後述する補助金や税制優遇の対象外となる可能性があります。
また、住宅の客観的な性能を示す書類がないため、将来的に売却する際の資産価値にも影響が出る可能性があります。
住宅性能評価や長期優良住宅などの国が定める基準は、将来的に良質なストック(中古住宅)を増やして、スクラップ&ビルドを減らそうという考えが根底にあるため、現時点で資産価値に影響するかわかりませんが、将来的な可能性は十分にあると考えて良いでしょう。

ちなみに、災害リスクの高い地域(土砂災害特別警戒区域など)に建つ住宅は、住宅性能評価を受けても補助金の対象外となる場合があります。
土地のリスク上、良質なストックにならない可能性が高いのが理由でしょう。
家を建てる土地を選ぶ際には、ハザードマップを確認したり、住宅会社に相談したりして、事前に災害リスクを確認することが重要です。

住宅性能評価を取得する5つのメリットと知っておくべき費用・注意点

住宅性能評価を取得する5つのメリットと知っておくべき費用・注意点

住宅性能評価書がもたらす5つのメリット

住宅性能評価書を取得することには、多くのメリットがあります。

メリット1:補助金や税制優遇の対象に

住宅性能評価書を取得することで、長期優良住宅やZEH水準住宅など、一定の基準を満たした高性能住宅として国や自治体の補助金制度を利用できる場合があります。
例えば、2025年の「子育てグリーン住宅支援事業」では、GX志向型住宅で最大160万円、長期優良住宅で最大100万円、ZEH水準住宅で最大60万円の補助金が受けられます。

メリット2:地震保険料の割引

耐震等級に応じて地震保険料の割引が適用されます。
耐震等級1で10%、等級2で30%、等級3ではなんと50%割引になるため、長期的なコスト削減につながります。

メリット3:光熱費の大幅削減

特に断熱等性能等級が高い住宅は、気密性・断熱性に優れており、冷暖房効率が向上します。
例えば断熱等級6以上の高性能住宅では、エアコン1台で家全体を快適に保てるケースもあり、年間を通じて光熱費を削減できます。
断熱等級4の住宅と比較して、等級5は約20%、等級6は約30%、等級7は約40%の一次エネルギー消費量が削減されるよう性能値が設定されているため、工事費は高くなってもランニングコストで長期的に回収できるケースが考えられます。

メリット4:快適で健康的な住環境

高断熱・高気密な住宅は、夏は涼しく冬は暖かく、家中の温度差が少ない快適な空間を実現します。
温度差がないことでヒートショックが抑制され、結露の発生が抑えられ、カビやダニの発生リスクも低減されるため、健康的な暮らしにつながります。
数値化は難しいですが、医療費の削減も期待できるでしょう。

メリット5:将来の資産価値向上

住宅性能評価書は、家の品質を客観的に証明する「お墨付き」です。
将来、住宅を売却する際にも、その性能が明確に示されるため、高い資産価値を維持しやすくなります。

住宅性能評価の費用と、後悔しないための4つの注意点

住宅性能評価の費用と、後悔しないための4つの注意点

住宅性能評価を受けるには、第三者機関への申請手数料や、住宅会社の申請作業費がかかる場合があります。
これは補助金の一部でまかなえる場合もありますが、事前に確認が必要です。
後悔しないためには、以下の点に注意しましょう。

注意点1:着工後の申請は手遅れ

住宅性能評価の申請は、必ず着工前に行う必要があります。
着工後に「補助金が欲しい」「性能評価を受けたい」と伝えても、評価に必要な書類作成や現場でのチェックが間に合わないため、手遅れになってしまいます。

注意点2:コストアップのリスク

住宅性能評価を受けるには、項目ごとに基準値以上の性能や仕様が必要になるため、依頼先の住宅会社の標準仕様から仕様を上げなければいけないかもしれません。
当然コストアップにもつながるため、なるべく早い段階で住宅性能評価を受けたい旨を伝えて、差額の見積を出してもらいましょう。

注意点3:予算切れのリスク

住宅性能評価絡みの補助金には財源となる予算が決められており、予算がなくなり次第、補助金の交付は終了します。
例年、11月頃に次年度の補助金概要が発表され、4月から施行されます。
2023年や2024年は10月頃に予算がなくなり、2025年のGX志向型住宅の場合はなんと7月末頃に予算がなくなってしまいました。
補助金の内容次第では公式サイトに予算消化率が掲載されているため、早めの情報収集と申請が重要です。

注意点4:性能だけでなく「設計・施工」も重要

住宅性能評価を取得するだけなら、数値や仕様を満たせば良いですが、本来の目的は良質な住まいにすることを忘れてはいけません。
高い断熱等級を取得しても、間取りや空調・換気計画が不適切だったり、気密性が低いと、その性能を十分に発揮できません。
実績のある住宅会社を選ぶことが、快適で高性能な住まいを実現する鍵となります。
気密性能は現場での測定でしか確認できないため、気密測定を行っている会社を選ぶと安心です。耐震等級においても、仕様規定と許容応力度計算で強度が異なるため注意が必要です。

長期優良住宅、ZEH水準住宅、GX志向型住宅…何が違うの?

長期優良住宅、ZEH水準住宅、GX志向型住宅…何が違うの?

住宅性能評価は、様々な高性能住宅の基準となる評価制度です。
特に補助金の対象となる代表的な高性能住宅には、「長期優良住宅」「ZEH水準住宅」「GX志向型住宅」があります。

長期優良住宅とは?

長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で住み続けられるよう、劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、省エネルギー対策など、複数の項目で一定水準をクリアした住宅です。
具体的には、断熱性能等級5、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率20%(一次エネルギー消費量等級6)といった省エネ性能が求められます。

ZEH(ゼッチ)水準住宅とは?

ZEH(ゼッチ)とは「Net Zero Energy House」の略で、年間で消費するエネルギー量と太陽光発電などで創り出すエネルギー量の収支を実質ゼロ以下にする住宅を指します。
ZEH水準住宅は、このZEHの断熱性能等級と一次エネルギー消費量削減率の基準を満たす住宅のことで、太陽光発電などの創エネ設備は必須ではありません。
具体的には、断熱性能等級5、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率20%が基準です。

【ZEHの注意点:太陽光発電の課題】
太陽光発電は創エネのメインですが、天候に左右され発電量が変動します。
また、日中に発電した電気をすぐに使わないと余剰となり、売電することも可能ですが、固定価格買取制度は10年で終了し、その後の売電価格は低下傾向にあります。

【原因と対策】
「せっかく太陽光をつけたのに、昼間使わないともったいない」「売電価格が下がって損した気分」という後悔の声もあります。
昼間の余剰電力を有効活用するために、蓄電池の導入や、昼間にお湯を沸かす「おひさまエコキュート」などの設備も検討できます。
ただし、これらは初期費用(イニシャルコスト)の増加につながるため、導入前にランニングコストとのバランスをシミュレーションして検討することが大切です。

GX志向型住宅とは?

GX志向型住宅とは、2025年の「子育てグリーン住宅支援事業」で新設された、従来の省エネ住宅の水準を大きく上回る区分です。
GXは「Green Transformation(グリーントランスフォーメーション)」の略で、二酸化炭素排出量削減を目指す取り組みです。

【GX志向型住宅の主な条件】

  • 断熱等性能等級6以上
  • 再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率35%
  • 再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率100%太陽光パネル設置が必須

非常に高い省エネ性能が求められるため、補助額も最大160万円と高額ですが、太陽光発電の設置が必須となります。

知っておきたい「断熱等級6」とは?

断熱等級は、住宅の断熱性能のレベルを示す等級です。
数字が大きいほど断熱性能が高く、快適な室内環境と省エネ効果が期待できます。

現在の断熱等級一覧

断熱等級4

2025年4月以降、全ての新築住宅で義務化された最低基準です。

断熱等級5

ZEH水準住宅や長期優良住宅の基準です。2030年には最低基準となる予定です。

断熱等級6

Heat20 G2レベルに相当する高性能住宅の基準です。エアコン1台で家中の冷暖房が可能なレベルとされています。

断熱等級7

Heat20 G3レベルに相当する最高レベルの断熱性能です。

断熱等級は、地域区分ごとに定められた「UA値(外皮平均熱貫流率)」という数値で評価されます。
UA値は、住宅の外部からの熱の逃げにくさを示し、数字が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。

断熱等級6で実現する快適な暮らしと「費用対効果」

断熱等級6の住宅では、季節を問わず快適な室内環境が実現します。
家中の温度差が少なく、ヒートショックのリスクを低減し、カビの発生も抑えることで、健康的な生活をサポートします。

断熱性能を高めるには、高性能な窓や断熱材の増量などにより、初期費用(イニシャルコスト)が上がる傾向があります。
しかし、その分、冷暖房費(ランニングコスト)は大幅に削減できるため、長期的に見ればコストパフォーマンスに優れています。
前述の通り、断熱等級4の住宅と比べて、断熱等級6の住宅は30年以内にはランニングコストで初期費用の元が取れるとされています。

まとめ・この記事の結論

住宅性能評価

  • 住宅性能評価は、第三者機関が住宅の性能を客観的に評価し、品質を証明する制度です。
  • 評価項目は10分野33事項に及び、特に耐震等級断熱等級が注目されます。
  • 住宅性能評価を取得すると、補助金や税制優遇、地震保険割引、光熱費削減、快適性向上、資産価値向上といった多くのメリットがあります。
  • ただし、評価には申請費用がかかり、着工前の申請が必須です。補助金は予算に限りがあるため、早めの情報収集と計画が重要です。
  • 長期優良住宅やZEH水準住宅、さらに新しいGX志向型住宅は、住宅性能評価の基準を満たすことで補助金の対象となる高性能住宅です。特にGX志向型住宅は断熱等級6以上で太陽光発電が必須となり、高い補助金が得られます。
  • 断熱等級6のような高性能住宅は、初期費用はかかりますが、ランニングコストの削減や快適な暮らし、健康維持といった長期的な視点で見ると、非常にコストパフォーマンスに優れています。
  • 高性能な家づくりを成功させるためには、断熱性能だけでなく、間取りや換気計画、気密性も考慮し、実績豊富な住宅会社に相談することが重要です。

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コラム監修者

一級建築士[家づくりディレクター]
鶴見 哲也(つるみ てつや)

1986年石川県生まれ。石川工業高等専門学校から新潟大学に編入し大学院修了後、石川県の設計事務所、住宅会社で8年半設計業務に従事。小学校から注文住宅、新築からリノベまで幅広い経験を持つ。本当に良い家づくりをするために、住宅会社を選ぶ前段階でよく学ぶことが大切だと気付き、住宅情報サイト「イエタッタ」を運営する(株)MiraieCompany に入社。第三者の立場から住宅取得希望者に向けて家づくりをわかりやすく学べるようにし、かつ住宅会社向けに建築とマーケティングの知識により住宅会社の課題解決にも取り組んでいる。

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