地震等の災害が発生した時、心配なのが返済中の住宅ローンのこと。
令和6年能登半島地震が発生してから、石川店の方には地震関連でいくつか相談がありました。
そこで返済中の住宅ローンの取り扱いについてまとめておきます。
結論としては、住宅ローンの債務者(借りてる人)と債権者(貸している金融機関)が協議し、支払い中の住宅ローンについて整理し、それから新しく住宅ローンを組んで生活再建を図ることです。
目次
住宅ローンの返済は続く
厳しい現実かもしれませんが、住宅ローン返済中に被災しても返済は続きます。
なぜなら住宅ローンは家が建ち続けている保証がついているわけではなく、家を建てるための借入だからです。
そのため被災状況次第では、暮せなくなったのに支払いが続くとか、修繕で別途費用が必要なのに支払いが続くといった経済的負担が大きくなってしまう可能性があります。
補填は公的支援と地震保険
住宅ローンの支払いを補填できるのは、公的支援と地震保険となります。
地震保険は加入条件次第ですが、一般的には住宅ローンを完済することが難しい金額となることが多いでしょう。
被災者生活再建制度
災害により住宅が全壊、半壊する等、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して支援金(最大300万円)が支給されるます。
支給額は下記の「基礎支援金」と「加算支援金」の合計額となり、単身世帯の場合は金額がそれぞれ3/4となります。
<基礎支援金>
全壊等:100万円
大規模半壊:50万円
<加算支援金>
建築・購入:200万円
補修:100万円
賃借(公営住宅除く):50万円
他にも災害救助法に基づく住宅の応急修理に関するもの、住宅金融支援機構による災害復興住宅融資といった公的支援もあります。
詳しくは内閣府のHPをご確認下さい。
地震保険
地震保険は単独のものがなく、火災保険に付帯する形で加入します。
保険の範囲は指定ができ、建物以外に家財道具も対象にできます。
一般的には地震等の自然災害は被害が大規模になるため、保険金支払額は火災保険の30%~50%になってしまいます。
当然、地震保険に加入していなければ保険金の支払いは一切ありません。
加入されている方は、今一度保険会社に確認しましょう。
自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン
前述の通り、被災後も住宅ローンが残り、公的支援と地震保険だけでは補填が難しく、生活再建が難しいケースが増えてしまいます。
そんな個人を救済する準則としてのガイドラインが「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」です。
一定の条件(支払条件、返済期間、債務総額、信用、債務者の財産や収入、家計の状況等を総合的に考慮して判断)を満たし、借入先の同意が得られれば債務の免除や減額等ができる可能性があります。
準則であるため法的拘束力はありませんが、中立公平な学識経験者等が協議を重ねて策定したものとして各種関係機関で自発的に尊重され遵守されています。
主なメリットは3つあります。
メリット1:手続き、支援を無料で受けられる
災害救助法が適用された市区町村に住所、居所、営業所、または事務所を有しており、定められた期間であれば「登録支援専門家」による手続き、支援が無料で受けられます。
登録支援専門家の中には弁護士をはじめ、公認会計士、税理士、不動産鑑定士といった士業の方がそろっています。
令和6年能登半島地震においては、2024年1月1日から2026年12月31日までに裁判所に民事調停の申し立てをする場合に適応されます。
メリット2:義援金等に加え財産の一部を手元に残せる
住宅ローン等の支払いができなくなると、最悪の場合は自己破産となります。
自己破産すると保有できるのは99万円以下の自由財産のみと決まっています。
しかし、ガイドラインによって財産を守ることができるかもしれません。
もちろん債務者の被災状況や生活状況等の個別事情によって判断は異なりますが、可能性があるという点で相談する価値はあるでしょう。
メリット3:個人信用情報として登録されない
生活再建しようと思うと多額の費用が必要で、場合によっては新たな借入が必要になるかもしれません。
住宅ローンをはじめとする借入には信用情報が大切です。
ガイドラインに則って債務整理した場合、個人信用情報として登録されないので、新たな借入に影響することはありません。
ガイドラインの手続き
ガイドラインに基づいて進めるには、まず最も多額のローンを借りている金融機関等へガイドラインの手続き着手希望を申し出てください。
そこで借入先、借入残高、年収、資産等を聞かれる場合があります。
申し出に対して金融機関の同意が得られたら、地元弁護士会等を通じて登録支援専門家に支援を依頼します。
その後は専門家の助言に沿って行動していく流れとなります。
ここで重要なのが、まずは借入先である金融機関に相談することです。
ガイドラインが利用できるのか、または利用すべきなのか、返済を続けるとしてもどのような計画で続けるのか、債務者と債権者の相互で協議することです。
法務局のHPにおいて、Q&A形式で同様の内容が記載されています。
新しく住宅ローンを組んで生活再建を考える方もいるかと思いますが、まずは支払中のローンをどうすべきか方針を決めてから動くのがいいでしょう。