一級建築士 つるみーの     家づくりコラム

2022.01.13

家を建てる前に知っておくべきこと

【2022年度版】住宅ローン減税について解説!

家を建てるためには、沢山のお金が必要になります。

そして、その際多くの人が、一括支払いではなくローンを組むでしょう。

そこで活用したい制度が住宅ローン減税です。

2022年から、住宅ローン減税が改正され新しくなりました。

そのため、2021年版と異なる部分がいくつかあります。

 

そこで本記事では、2021年度版と2022年度版の住宅ローン減税の違いをまとめました。

まずは住宅ローン減税が、そのような制度か確認しましょう。

 

 

住宅ローン減税とは

住宅ローン減税とはローンを組み住宅を建てる際に、取得者(ローンを借りる側)の負担を軽減するための制度です。

正式名を「住宅借入金等特別控除」と言います。

 

年末のローン残高に対して、控除率を掛けた金額が所得税と住民税から控除される仕組みです。

そのため、この制度を利用すると、支払う税金が少なくなります

取得者にとっては、ありがたい制度と言えるでしょう。

 

しかし、この住宅ローン減税は、2022年度版から控除率や控除期間などが変更されました。

 

続いては住宅ローン減税が、2021年度版からどのように変化したのかを詳しく見ていきましょう。

 

 

控除率は最大0.7%、控除期間は13年

まずは、控除率と控除期間を確認します。

 

2021年度版ローン減税の控除率は最大1%、控除期間は10年間、控除対象ローン残高4000万円でした。

控除額は最大400万円。

対して2022年度版は、控除率が0.7%、控除期間は13年、控除対象ローン残高3000万円です。

控除額は最大273万円

(※2024年、25年の居住、または中古住宅の場合は、控除期間10年。)

控除率は減少しましたが、控除期間は延長されています。

 

控除率減少の理由は、控除率1%にあります。

1%では住宅ローンとして支払う金額よりも、住宅ローン控除額の方が大きくなる場合が多く、沢山借りるほど儲かる仕組みになっていたためです。

それを改善するために、控除率が0.7%に下げられました。

 

そして、変更した理由に「新型コロナウイルス」も関係しています。

世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルスが原因で、計画通りに住宅工事や引き渡しができないなどの問題が発生。

 

そのため、当初は2020年12月末までに入居予定だったものが、できなくなるなどの被害が出ました。

 

2021年度版の住宅ローン減税は、2019年に契約を済ませ、2020年12月末までに入居することが条件でした。

これでは条件を満たすことができず、控除を受けられません。

この対応策として、2022年版は控除率や控除期間が変更されたのです。

 

 

そして、2022年度版住宅ローン減税を受けるための条件は、下記の通りになります。

 

・自分が住む住宅であること

・2025年内に居住すること

・契約した年の合計所得が2,000万以下

・組んだ住宅ローンの返済期間が10年以上

 

自分は条件に当てはまるのか、よく確認しましょう。

 

また、その他にも気をつけたいポイントは、「省エネ基準」で控除される上限金額が変わることです。

次は、その部分について詳しく見ていきます。

 

 

省エネ基準で変わる上限金額

近年、地球環境の悪化が問題視されています。

とくに住宅・建築関係の産業はエネルギー消費量が全体の30%

ほかの産業よりも増加傾向にあり、住宅も省エネ化が必要と言われるようになりました。

 

そのため種類によって上限金額は異なりますが、省エネ住宅を建てると住宅ローン減税を受けられます

そして、それぞれの金額は下記の通りです。

 

<新築住宅>

・長期優良住宅5000万/最大控除額455万
(2024~25年入居は4500万/最大控除額409.5万)

・ZEH水準省エネ住宅4500万/最大控除額409.5万
(2024~25年入居は3500万/最大控除額318.5万)

・省エネ基準適合住宅4000万/最大控除額364万
(2024~25年入居は3000万/最大控除額273万)

・その他の住宅3000万/最大控除額273万
(2024~25年入居は2000万/最大控除額182万)

<中古住宅>

・認定住宅3000万/最大控除額210万

・その他の住宅2000万/最大控除額140万


長期優良住宅とは、その名の通り「長期間住み続けられる住宅」です。

省エネ・耐震・バリアフリーなど、多様な項目の基準をクリアした住宅を指します。

続いてのZEH水準省エネ住宅は、高断熱素材の壁紙や窓などの省エネ設備を使用し、消費エネルギーを削減。

さらに、太陽光発電によってエネルギーを生産し、エネルギー収支を0にします。

省エネ基準適合住宅はZEH住宅と同様に、高性能な省エネ設備によって消費エネルギーを削減しますが、太陽光発電による創エネルギーは行いません。

これらの認定住宅は、所定の基準を満たした住宅として申請が必要です。

一般的に20~30万円ほどの申請・審査手数料がかかるのでご注意ください。

 

 

手続きは引き渡し後

2022年度住宅ローン減税について解説してきましたが、いつ手続きすればいいのと疑問に思う方も多いはず。

住宅ローン減税を受ける手続きは、完成して引き渡し後に行います。

そこで注意が必要なのが、給与所得者(サラリーマン)であっても初年度は確定申告が必要なことです。

住宅を取得した年度末に所定の書類を、確定申告として管轄の税務署に提出します。

2年目以降は、年末調整で提出できるようになるのでご安心ください。

また、長期優良住宅やZEH、省エネ基準といった認定住宅は、完成後にその認定を受けることができません。

そのため計画段階から認定住宅にするかどうか、よく検討しておきましょう。

住宅会社の方も住宅ローン減税の手続きに慣れているので、必要書類の準備や手続き時期などについてきっとアドバイスしてくれますよ。

 

このように2022年度住宅ローン減税では、さまざまな改正が行われています。

住宅購入を考えている方は、新しい内容をしっかりと把握しておきましょう。

 

 

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