家づくりをスムーズに行うためには、
・耐震性能
・断熱性能
・機能性
・デザイン
の4つがポイントです。
理想の家を建てるにあたって、デザインや予算など、さまざまな場面で決断する機会が多くなります。
誤った決断をしないためにも4つのポイントを理解し、どのような目的で、何を実現させるものか知っておきましょう。
今回は、そのうちの1つである「断熱性能」についてまとめました。
まずは、断熱性能の目的を確認していきます。
断熱性能の目的
断熱性能の目的は下記の2つです。
・健康で快適な暮らしをする
・省エネで光熱費を抑えたお得な暮らしをする
“断熱”と聞くと、「冬暖かく、夏涼しい」イメージを思い浮かべるかもしれません。
勿論、間違いではありませんが、本来は「熱を通しにくくし、温度を保つ力」を意味する言葉です。
魔法瓶の水筒をイメージすると、わかりやすいでしょう。
魔法瓶の水筒に温かい飲み物を入れると、温かさが長時間保たれます。住宅の断熱性能も同じ仕組みです。
断熱性能の高い住まいは、エアコンを消しても部屋の温度があまり変化しません。
消費するエネルギーも少なく、光熱費の削減にもつながります。
温度の変化による心身へのストレスも減り、健康で快適な暮らしを送れるのです。
寒さは健康リスクを上昇させる
イギリスでは、下記のように室温と健康リスクの関係が定義づけられています。
21℃:健康に過ごせる温度
19℃:健康リスクが現れる温度
16℃:深刻な健康リスクが現れる温度
10℃:高齢者に低体温症が現れる温度
このように、寒さと健康被害は一定の関係性があると考えられており、最低室温規定を設ける国も少なくありません。
日本では、交通事故とヒートショックを含む入浴関連事故の死亡者数を比較し、危険性を周知しています。
例えば、交通事故の死亡者数が約3,900人、入浴関連事故は約19,000人であった場合。
入浴関連事故は、交通事故の4倍以上ということになります。
ヒートショック以外の人数も含まれているため断言はできませんが、交通事故より死亡者数が多いことから、寒さは健康リスクに大きな影響を及ぼすと考えられているのです。
また近年、夏の猛暑が原因で脱水症状になり、死亡するケースも増えています。
これも適切な温熱環境で生活できていないことが原因であり、断熱性能が関係しています。
正しい性能値の認識の仕方
近頃、「○○という材料を使っているので高断熱です」という表記をよく見かけます。
実はこの表記、半分正解で半分は間違いです。断熱性能は、「材料の性能と厚さの掛け算」で決まります。
いくら高性能な材料でも、薄すぎると断熱性能が高いとは言えません。
反対に、材料単体の性能は低いものの、厚みが確保できれば高性能にもなります。
「高断熱」に対する正しい知識を身に付け、間違った表記に踊らされないようにしましょう。
気密性能ってなに?
高断熱と同じように説明されているものが、「高気密性能」です。気密性能は、建物の隙間の大きさを表します。
住宅は人の手仕事でつくられているため、どうしても隙間が生じます。
その隙間から外気が入り室内環境に影響を与えるため、気密が高いにこしたことはありません。
また、高い断熱性能でも気密性能が低ければ、その効果は発揮されないことになります。
そのため、高気密と高断熱はセットで考えなければなりません。
断熱性能は、断熱材とその厚みで決まり、事前に設計も可能です。
しかし、気密性能は住宅工事の精度によって異なるため、各社の実力が問われる部分でもあります。
近年、便利な建材や高気密の施工が当たり前となっており、平均的なレベルも上がっています。
こだわりを持っている方は、住宅会社に過去の実績を聞いてみても良いかもしれません。
今回は、断熱性能の基本的な知識をお伝えしました。vol.2では断熱性能について、さらに踏み込んだ内容をお伝えします。