多くの人にとって、家を建てる費用は人生で最大規模の出費です。
数千万円かかるのはわかるけど、いったいどのような費用が必要なのかわからない方も多いはず。
住宅ローンに含めるもの、含められないものを分けながら解説していきます。
家を建てる土地の取得費用
土地がない場合は、購入が必要です。
土地の価格は、立地条件(公示地価)や土地の状態(上下水道の有無、崖地の有無、等)によって異なります。
土地購入時は、まず契約時に手付金が必要です。
決まりはありませんが、売買価格の5~10%が目安で、これを住宅ローンに含めることはできません。
契約した証拠を示す意味があり、それをもって所有権の移転手続きに入ります。
ここで、買主が手付金を破棄する、または売主が手付金の倍の金額を支払うことで、契約が解除できることに注意したい。
手付金の金額には決まりがないので、極端に安くすることもできます。
そうすると、より好条件で別の買主が現れて、横取りされる可能性もある。
横取りされないためにも、売買価格の5~10%を手付金として支払うのがいいでしょう。
契約すれば1.5カ月~3カ月で所有権移転の手続きが行われます。
それが完了すれば、売買価格から手付金を差し引いた残金を支払うことで、土地の購入が完了です。
残金の支払いは、住宅ローンに含めることができます。
また、不動産会社を通した仲介が発生した場合は、仲介手数料が必要です。
仲介手数料は、宅地建物取引業法で上限額が定められており、売買価格400万円以上の取引の場合は下記の式によって算定できます。
仲介手数料 = (売買価格 × 3% + 6万円) + 消費税
これが上限額であるため、実は価格交渉できるのがポイントです。
仲介手数料の支払いのタイミングは、契約時に半分、残金支払い時に残りの半分とするのが慣例。
会社によっては、契約時は無しで、残金の支払い時にまとめてという場合もあるので聞いてみましょう。
借入先によっては、住宅ローンに含めることもできるので、これも借入先に聞いてみよう。
家を建てる工事費用
家を建てる工事費用と聞くと、坪単価という言葉を連想する方が多い。
しかし、坪単価だけで家は建ちません。
工事費用は、一般的に本体工事と付帯工事に区別されます。
本体工事は、家自体とその中で簡単に取り外しや移動ができないようなものが含まれている。
これを一般的に坪単価と呼んでいます。
雑誌やインターネットの記事では、坪単価で会社比較をすることを推奨していますが、これは大きな間違えです。
耐震や断熱といった性能、仕様が異なれば、坪単価が異なって当然。
同一性能、同一仕様の会社同士でない限り、坪単価での会社比較は意味がないので、注意が必要です。
そして、本体工事に含まれていないカーテンやエアコン、床暖房、外構工事、地盤補強工事、等を付帯工事と呼びます。
付帯工事は、土地の大きさや地盤の状態、エアコンや床暖房の必要箇所数で大きく金額が変わるため、坪単価に含まれていません。
選ぶもののグレードに依存するので、付帯工事で会社ごとの価格差が出るのは少ないでしょう。
また、建設業界は未だに税抜きで金額を言う慣例があります。
そのため本体工事、付帯工事は税抜き金額です。
もちろん、よく耳にする坪単価にも消費税は含まれていません。
消費税10%は別にかかると頭の片隅に入れておきましょう。
もちろん、工事費用は住宅ローンで支払うことができます。
様々な手続きにかかる諸費用
家を建てるには、様々な手続きが必要で、それぞれ申請や依頼費用がかかってきます。
これらをまとめて諸費用と呼びます。
例えば、
・行政に支払う確認申請、完了検査申請手数料
・長期優良住宅、性能表示等の申請手数料(希望した場合に必要)
・借入先に支払うローンの申込費用(月々の返済に含まれることもある)
・契約書に貼る印紙代
・登記を依頼する場合の司法書士への依頼費用
・地鎮祭で神主さんに渡す玉串料(たまぐしりょう)
・建て方の日に大工さんの棟梁に渡すお礼(最近は渡さない場合もある)
・引越業者に支払う引越代
このように、数万円から数十万円の出費が何度もあり、合計するとあっという間に100万円を超えます。
借入先の条件によっては、住宅ローンに含むことができるものもありますが、現金で支払う準備をしておくのが無難でしょう。
必ず新しいものがほしくなる家具家電購入費用
住宅会社に資金計画を出してもらう場合、含まれてこないのが家具家電購入費用。
そのため、うっかり予算を取っておくのを忘れてしまいます。
予算が無いから今ある家具家電を使おうと思っていても、どんどん出来ていく家を見て、
「やっぱ新しい家に、古い家具や家電は合わないよね。買わなきゃ!」
なんて気持ちが変化していきます。
設計の仕事をしてきた経験上、8割から9割のお客さんが家具家電を買い替えていました。
しかも、家具は大型の量販店のリーズナブルなものだと納得できなくて、インテリアショップで購入する傾向があります。
また、収納ケースやIHにした場合の専用鍋等、細かいものも塵も積もればで、意外とお金がかかる。
予算計画の段階で、家具家電購入費用をしっかり見込んでおくのが失敗しない秘訣です。