住宅の坪単価って何
家づくりに取り組むと、よく耳にするのが「坪単価」。
名前の通り1坪(3.305㎡)あたりの価格を表しています。
例えば、坪単価60万円で35坪の面積であれば、2100万円といった感じで価格が把握できる。
簡単に把握できるだけあって、坪単価で会社比較をしようと言った話をよく耳にします。
しかし、それは大きな間違いを生む可能性が高い。
まず、坪単価は性能、仕様、家の形によって変わります。
そのため建てる前に言葉にする坪単価は、特定の会社での標準仕様で建てた時の平均価格を意味しています。
高い断熱性能やグレードの高い仕様、複雑な形の間取り(表面積が大きい)の場合は坪単価が高くなる。
つまり、坪単価で会社比較をする際は、中身を把握した上でないと意味がありません。
実際の住まいの坪単価は建てた後の結果であるため、概算の概算ぐらい曖昧なものだと考えておくのがいいでしょう。
坪単価以外にも住宅にはお金がかかる
坪単価だけで新築住宅が建つと、多くの人が勘違いしている。
しかし、坪単価は住宅の本体工事の部分で、それ以外に付帯工事というものがあります。
<本体工事>
家そのものを建てる費用。全体の80%程度を占める。
<付帯工事>
外構やエアコン、上下水道など、本体工事に付随する必要不可欠な工事の費用。全体の20%程度を占める。
本体工事は坪単価を意味するため、会社が考える性能や仕様によって変化します。
一方で、付帯工事は特別な要望がない限り各社で大きな差は出にくい。
どこの会社で建てようが、同じぐらいの費用感が必要と考えてもいいでしょう。
また、建設業は税抜で金額の話をするのが慣例。
別途消費財が必要なことは忘れないようにしましょう。
坪単価の中に固定費用と変動費用がある
坪単価に面積をかけると、本体工事費が出ます。
しかし、面積が小さくなればなるほど、坪単価を上げないと辻褄が合わなくなる。
なぜなら、坪単価の中に固定費用と変動費用があるからです。
固定費用とは、どんな家でも必ず必要なもの。
例えば、キッチンやお風呂は40坪の家でも、25坪の家でも必ず必要です。
固定費用に当たるものは面積の影響を受けないため、小さい面積になればなるほど計算誤差が大きくなる。
変動費用とは、面積の影響を受けるもの。
内外装の仕上げ材や屋根、木材使用料などは、面積が小さくなれば使用量が少なくなります。
ここがコストダウンのポイントです。
家の大きさに影響を受けずに、必ず必要となる固定費用。
面積の影響を受ける変動費用。
面積が小さくなればなるほど、変動費用の占める割合が小さくなるため、コスト削減率も低くなります。
だから、面積が小さな家の坪単価は割高になっている。
平屋が高いのは基礎と屋根が大きいから
坪単価の固定費用と変動費用がイメージできたら、どんな住宅が高くなりやすいか想像できるようになります。
よく2階建てと平屋だと、平屋の方が割高と言われる。
それは変動費用の中でも、特にコンクリート基礎と屋根の面積当たりの単価が高いからです。
同じ面積の総2階と平屋では、単純に基礎と屋根の面積が倍になります。
しかも、それらの単価が工事の中でも高い部類なので、家全体のコストが高くなる。
もちろん、2階建てでも1階の面積が大きければ平屋に近くなるため、コストは高くなる傾向です。
小さな住宅にするのがコスト削減のポイント
坪単価の仕組みが理解できると、新築住宅の建築費用を安くするポイントが明確にわかったはず。
家の面積を小さくすること。
そして、1階と2階の面積をなるべく同じぐらいに近づけること。
こうすることで坪単価は高くなりますが、絶対的な価格は安くなります。
もし家づくりで想像よりもコストオーバーになった時は、仕上げや住宅設備機器の仕様を見直すよりも、住まいの面積を見直すことが最も効果的だと覚えておきましょう。