一級建築士 つるみーの     家づくりコラム

2021.04.19

新築住宅について

新築住宅で起きているウッドショックの影響とは

今、住宅業界ではウッドショックが話題になっています。

ウッドショックとは、住宅用の構造木材の供給不安のことです。

特に梁や柱の集成材に使われる北米産の米松の供給が不足し、価格が高騰。

その影響は既に、代替品の国産材にも影響し、業界を騒然とさせています。

価格高騰の煽りは、間違いなく住宅取得希望者にも影響するでしょう。

しかし、なぜ急にこんな状況になったのでしょうか。

 

 

原因は物流ストップと海外での戸建てブーム

ウッドショックの発生原因は、世界的なコロナウイルスの蔓延です。

まず、コロナによって都市がロックダウンされたことで、海運業に関わる港の労働者が減少しました。

その影響で貨物が動かなくなり、僅かに動いているコンテナも特定の港に停留する一方。

海運業が大混乱し、輸送費が高騰しました。

また、米松の原産国であるアメリカでは、コロナの影響で郊外の戸建てブームが起きています。

アメリカ国内での材木需要が高まり、北米市場では木材価格が過去最高値を大きく更新。

そこにコロナからいち早く脱却した中国も、北米に負けじと高値で輸入し、世界の木材が集中。

世界の主要な産地の先物産地価格も、記録的な高値になっています。

つまり、アフターコロナで一歩先を行く二大国の巨大需要により、日本に木材が入ってきにくい状況になりました。

 

 

価格高騰は長期化する可能性も

ウッドショックによる価格高騰は、コロナを発端にした世界的な社会構図からきています。

もっと深い要因として、過去20年間のGDP(国内総生産)成長率において、日本はほぼ横ばい。

アメリカやヨーロッパ諸国は、右肩上がりに成長。

先進国の中で経済成長していない日本は、世界的に見て貧しい国になりつつある。

コロナと経済成長できなかったことで、国際市場で不利になったため、ウッドショックは長期化が危惧されています。

またウッドショックの影で、鉄筋などの材料も価格が上がっているのが現状。

ウッドショックの長期化も含めて、今後も住宅の価格は上がっていくでしょう。

 

 

コストを抑えた家づくりのコツ

これから家づくりをする方でコストを抑えたい場合は、以下の3つのポイントをチェックしましょう。

 

1.床面積を小さくする

住宅におけるコスト削減の基本は小さく作ること。

なるべく無駄のないコンパクトな間取りにすることを心がけましょう。

「とりあえず収納は多め!」みたいなどんぶり勘定ではなく、一つ一つの部屋が本当に必要か検討するのがオススメ。

また、面積的には小さくても、窓の配置や吹抜け等で面積以上に広がりを感じられるのも住空間の魅力の一つ。

物理的な小ささは、デザインというアイディアで解決し、豊かな暮らしを営みましょう。

もう少し詳しい内容は、こちらの記事をご確認下さい。

 

2.シンプルな形にする

同じ床面積の住宅でも、形が複雑になればなるほど表面積が大きくなります。

そうなると使用する材料も多くなるため、どうしてもコストアップになりがち。

逆にリーズナブルな建売住宅が総二階の形が多いのも、同様の理由からです。

また、複雑な形になればなるほど、構造が複雑になります。

複雑な構造となれば、ウッドショックの影響を受ける集成材に頼らざるを得ないことも増えるでしょう。

 

3.横架材(梁)が少ない構造にする

横架材(梁)には、ウッドショックの影響を受ける集成材を使うことが多い。

特に、柱と柱の距離が遠かったり(大スパンな構造)、1階と2階で柱の位置があってない所が多いと、集成材の使用量は増えてしまいます。

逆に上記の条件ではなく、合理的な構造計画においては集成材を使わずに済む可能性もある。

2番目のシンプルな形にすることにも通じますが、構造的に無理のない素直な間取りがオススメです。

 

(※集成材:複数の板を結合させた木材。無垢材より狂いが少なく、大きな断面の材料も作れるため、構造材に重宝されている。)

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