一級建築士 つるみーの     家づくりコラム

2020.08.06

家を建てる前に知っておくべきこと

自己資金は本当に必要ないのか 家を建てる前に知っておくべきこと8

自己資金0円でも家づくりができるって本当?

自己資金0円で家づくりという広告が流れてくることがあります。

これって本当なのでしょうか?

答えは、No!

 

自己資金、つまり貯金0円で家づくりをすることはできません。

では、いくらぐらい必要なのでしょうか。

書籍等に書いてある一般的な見解としては、家づくりにかかる費用の20%自己資金が必要だと言われています。

3000万円なら600万円、4000万円なら800万円。

こう聞くととてもじゃないけど無理だと感じるでしょう。

実際、ここまで自己資金を蓄えて家づくりに取り掛かるご家族は少なくなっています。

その理由は、ここ数年間金利が安いからです。

(金利については、こちらの記事をご覧ください。)

 

自己資金は究極の繰り上げ返済

10年ぐらい前と比較して、現在は金利が約2%も安くなっています。

例えば、35年3000万円の借入に対して金利が2%違えば、金利の差額だけで約1200万円も変わってくる。

(借入条件によって差額は変わります。)

こんなにも金利が高かった時代においては、自己資金で頭金を支払い、借入金額をなるべく少なくするのが一般的でした。

自己資金という究極の繰り上げ返済によって金利を減らし、総返済額を小さくするのが理由です。

(繰り上げ返済については、こちらの記事でわかりやすく説明しています。)

だから、自己資金20%準備して家づくりに取り組むことが推奨されていました。

しかし、現在は国策として低金利の時代になっています。

また、家づくりをするメインの層は結婚して、子育て中の20代から30代が中心。

国勢調査の同居率の低下が示すように、家づくり層は実家で同居せずに賃貸暮らしをするのが一般的な時代です。

そうなると家賃を支払いながら、自己資金を貯めるのが非常に難しくなっています。

このような時代の変化に伴うライフスタイルの変化により、自己資金20%貯めてからの家づくりは非現実的になりつつある。

そこで現代の家づくり層は、貯めるよりも早めに借りることを選んでいます。

ゼロ金利やマイナス金利と言われる低金利時代だからこそできる選択肢です。

 

家づくりの途中で必要な現金支出

時代の変化により、自己資金20%以下でも家づくりを始めるのが多くなったが、0円ではできないのはなぜでしょうか。

それは家づくり流れの中で、住宅ローンで支払うことが難しいものがあるからです。

例えば以下のようなものがあります。

 

・土地購入時の契約手付金

売買金額の5~10%を契約時に手付金として支払う

 

・確認申請、完了検査申請手数料

 申請先や規模によって異なるが、あわせて約30,000円

 

・住宅ローンの借入手数料

金融機関や借入金額によって対応が異なる

月々の支払いに含まれる場合がある

金額は数十万円

 

・地鎮祭時に神主さんに渡す初穂料、玉串料

 30,000~50,000円

 

・大工さんへの上棟ご祝儀

人数によって異なるが合わせて150,000~300,000円

近年、渡さなくていい場合もあるので、住宅会社にご確認下さい

 

・家具家電購入費用

どれだけ再利用するかによって異なるが、細かい雑品もあるので1,000,000円以上かかる

金融機関のローン商品によっては、住宅ローンに含むことができる

 

・引越費用

荷物の量や距離によって異なるが、100,000~200,000円

数万円から数百万円まで、現金で支払わなければいけないものが色々あります。

近年は、諸費用を住宅ローンで支払える商品が増えてきましたが、商品によって異なるので確認が必要です。

これらをまとめると、最低でも土地無しで2,000,000円以上は自己資金の準備があると安心できるでしょう

もちろん「貯金=自己資金」ではなく、ケガや病気等の有事に備えて蓄えも必要です。

家づくりに失敗しないためにも、住宅ローン以外で必要な費用を把握し、計画的な家づくりをしていきましょう。

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