一級建築士 つるみーの     家づくりコラム

2021.05.06

注文住宅で気を付けるポイント

新築の注文住宅で20畳のLDKは狭い?広い?

新築の注文住宅で20畳のLDKは狭い?広い?

注文住宅のLDK_イエタッタカウンター

住宅会社「どんなLDKにしたいですか?」

お客さん「とりあえず、20畳ぐらいの広さはほしい!」

注文住宅の打ち合せでは、このようなやり取りがよくあります。

 

 もしかすると、本記事を読んでいるあなたも経験があるのではないでしょうか。なかには「なぜ20畳と言っているのか」「その要望に対して、住宅会社はどのような提案をするのだろうか?」と疑問を抱く人もいるでしょう。

 

今回は上記の疑問について、一級建築士である私の経験をもとにお答えします。まずは、なぜ20畳と言っているのか、その理由を見ていきましょう。

 

多くの人は本当に20畳分の広さが欲しいわけではない

 

多くの人は「20畳」という物理的な広さを求めているわけではありません。お客さんと話しをしていて思うのが、「20畳は『ちょっと広く感じるLDK』のようなニュアンスで使っている場合が多い」ということです。

 

間取りの打合せでは、まだまだ家づくりがどのようなものか分からず、色々と見聞きした情報を一生懸命伝えようとしている段階です。体感的に20畳がどれぐらいの広さなのかも把握できておらず、どれぐらいの家具が配置できるかも分かっていないでしょう。

 

そのため、「20畳のLDKにしたい」と要望するお客さんの多くは、家づくりの知識が豊富ではない印象を受けます。また、住宅会社の担当者によっては20畳の受け取り方も変わってくるので、安易に「20畳」と伝えることはおすすめしません。

 

担当者の中にも「デザインができる担当者」と「できない担当者」がいるからです。

 

デザインができる担当者とできない担当者

デザインができる人には一定の傾向があります。それは、お客さんの潜在的な要望、真意を把握する能力が高いことです。そのためデザインができる担当者は、20畳のLDKという要望に対して「ちょっと広く感じるLDK」と脳内変換します。

 

逆にデザインができない担当者は「分かりました」と返事をし、次回の打合せの際にきっちり20畳のLDKを提案してくるでしょう。お客さんの要望をどのように理解し、どのように提案に落とし込むか、担当者の質によって家の質も大きく変化します。

 

さらに、デザインができる担当者はこう続けるでしょう。「広さより、どのような使い方や過ごし方をしたいですか?」この質問の意図としては、使い勝手や過ごし方から広さを逆算し提案しようと考えているからです。

 

落ち着いて過ごしたい場合は、少し狭く囲まれた雰囲気を。広々と開放感を感じたければ、天井が高く視線が抜けるような雰囲気を提案します。このように求める使い方や過ごし方によって、提案すべき空間は異なるのです。

 

LDKだからといって、ただ天井が高く面積を広くするだけが正解ではありません。暮らしに合わせた空間づくりが大切です。要望を伝える側として、どのような使い方や過ごし方をしたいか担当者に詳しく伝えましょう。

 

要望は広さではなく使い方と過ごし方で伝える

家づくりの打ち合わせの際に、どのように要望を伝えたら良いのか分からない場合が多々あります。今回のLDKの事例のように、面積では適切に伝わらないこともその1つです。前の章でも触れましたが、その時は使い方や過ごし方で伝えてみましょう。そうすることによって、住宅会社の担当者も素敵な提案をしてくれるはずです。

 

そしてLDKの広さに注目する場合、伝え方の具体例としては「吹き抜け」と「窓」がポイントになってきます。

 

広く感じるLDKには吹抜けと窓がポイント

建築空間は3次元です。床面積に対して、天井の高さと視線が抜けた先の景色が反映されます。つまり広く感じる20畳のLDKもあれば、狭く窮屈に感じる20畳のLDKもあるということです。

 

そのため、吹抜けで垂直方向に視線が抜けるようにするのか。窓の配置で、水平方向に視線を抜けるようにするのか。この2つのバランス次第で、15畳が20畳以上に感じる広い空間づくりも実現できます。

 

とくに窓に関しては、カーテンを1日中開けっ放しにしても大丈夫なように作りましょう。そうすると庭や借景までもがLDKの一部のようになり、面積以上の広がりを感じられます。吹抜けを設ける場合は、建物自体の断熱性能にも配慮すると理想的です。

 

今回は注文住宅の打ち合わせで、なぜ「20畳」というフレーズをよく使うのか。それを聞いた住宅会社の担当者の反応、更に広く感じるLDKをお願いしたい場合の伝え方などを紹介しました。

 

家を建てるためには、担当者との情報の共有も欠かせません。どのような使い方や過ごし方をしたいか具体的に伝えましょう。それが理想のマイホームへの1歩となります。

 

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